諏訪綾子×奈良宗久 瞬間こそが永遠となる。禅の世界をフードアーティストと茶道家で体験する、金沢の旅の記録


心を耕すプレミアム体験型ツアー、カルトラ。第10弾となる、「瞬間こそが永遠となる。禅の世界をフードアーティストと茶道家で体験する、金沢の旅。」が実施されました。新鋭のフードアーティスト諏訪綾子さん、裏千家今日庵の業躰としてご活躍されている奈良宗久さんと共に、夏の盛りを迎えた金沢を訪れました。形は違えど、世界各国でおもてなしの体験を紡ぎだすお二人が出会うことで、どのような邂逅がうまれたのでしょうか。歴史と芸術溢れる金沢の魅力を更に掘り下げていくプレミアムツアーの様子を一部お伝えいたします。


鈴木大拙館でのお茶会当日の気温はなんと36度超え。うだるような暑さの1日でしたが、「水鏡の庭」に浮かぶ静かな佇まいの「思索空間(鈴木大拙館)」は、ほっと息をつけるような涼やかな空間でした。風のざわめきや、ほのかに香る水の存在感、四方の開口部から漏れ入る光のきらめき、五感を研ぎ澄ませて過ごす時間は、外の世界と断絶されているかのように、ゆったりと流れていきました。

みなさんの気持ちが整った頃、諏訪さんがベルではじまりの合図を鳴らし、いよいよお茶会がはじまります。この季節を逆手にとって、どのようなお茶会を演出してくれるのでしょうか。期待がふくらみます。

1つ目の扉が開き、諏訪さんがこの日の為につくられたお菓子が運ばれてきました。鈴木大拙館を下見した際に、この場所ならではの情景からインスピレーションを受けて、諏訪さんが決めたこの日のテーマは「水・風・光」。

1つ目は「水」をテーマにつくられたお菓子。その名の通り一見飲み物のように見えますが、実際にはその中に透明なお菓子が浮かんでいます。目が錯覚を起こした後、おそるおそる口に含むことで分かる、五感に訴えかける食の体験は、諏訪さんならでは。

2つ目のお菓子のテーマは「風」。透明な重箱の蓋を開けた瞬間、煙が立ち昇り、その中から雲のような姿のお菓子が現れました。まるで天上の世界を閉じ込めていたかのようなお菓子です。みなさんそっと手に取って驚きの眼差しでまじまじと見つめていました。

3つ目のお菓子は「光」。すべての扉が開放されて、明るさを増した室内で、透明な粒が周囲の光をあつめてきらきらと光っていました。1つ1つ、そっとつまみながらじっくりとあじわいます。
「水・風・光」という自然をテーマに五感を刺激するお菓子をあじわったみなさんが、目をつむってこの場や、この瞬間にしかない空気を感じている様子が印象的でした。

幻想的なお菓子の体験を終えた後は、いよいよお茶をあじわう時間です。奈良宗久さんが登場しお茶のお点前がはじまりました。静まり返った空間の中、流れるような動作で披露されるお点前は美しく、日本文化の美しさに、改めて心を打たれる時間となりました。

お茶碗に描かれている○△□(まる・さんかく・しかく)を見ると、江戸時代の禅僧である仙厓義梵の代表作が脳裏に浮かびます。意味は諸説ありますが、鈴木大拙はこれを「宇宙の生成発展」「世界の構成要素」を示すと考えたようで、鈴木大拙館には、「まる・さんかく・しかく」の概念が設計の至るところに反映されています。

このお茶碗は、奈良さんの実家である10代大樋長左衛門窯にて裏千家前家元である鵬雲斎千玄室大宗匠が書かれているもので、まさに鈴木大拙館でお茶を飲むのにぴったりなお茶碗です。世界中さまざまな場所でお茶のおもてなしをされている奈良さんならではの心配りです。

そして2碗目以降は、諏訪さんと奈良さんのコラボレーション。目にも涼しい透明なこのお茶碗、みなさん触ってみて驚き、なんと、氷でできているのです。
こちらは、この日の為に金沢のクラモト氷業さんにお願いしてつくられた特別なお茶碗です。大樋焼は、ろくろではなく手びねりでつくるのが特徴的なのですが、そちらを模して、1つ1つ職人の手で削りを調整してつくられています。しっくりと手のひらに馴染む感覚は、まさに手びねりのお茶碗のようでした。お茶会で大切にされている季節感というものを、思いもよらぬ表現で、大胆かつ繊細に演出しています。

いつか溶けてなくなるうつわというのは、ある意味究極のわびの精神とも言えます。それは利休が目指した侘び茶の世界の一端に触れるような体験でした。一瞬の幻のような、永遠に心に残るような稀有な体験は、まさに「瞬間こそが永遠となる」という禅の思想を、五感を研ぎ澄ませて感じる体験だったのではないでしょうか。

今回お会いできたみなさん、そして次回参加を希望するみなさんにも、今後のカルトラツアーでお会いできるのを楽しみにしています。諏訪さん、奈良さん、参加者・ご協力者のみなさん、そして、鈴木大拙館のみなさん、素敵なお時間を提供していただき、本当にありがとうございました。

Specialist
  • 諏訪綾子
    Profile
    1976年 石川県生まれ。
    金沢美術工芸大学卒業後、2006 年よりfood creationの活動を開始、主宰を務める。 2008年に金沢21 世紀美術館で初の個展「食欲のデザイン展 感覚であじわう感情のテイスト」を開催。 同時期に伊勢丹新宿本店の食品フロアにて同コンセプトのパフォーマンスを実施し、食とアートの各領域から高い評価を得る。 現在までにシンガポール・パリ・ベルリン・香港・福岡・東京など、国内外でパフォーマンス「ゲリラレストラン」を開催し、 人間の本能的な欲望、好奇心、進化をテーマにした食の表現を行い、美食でもグルメでもない、栄養源でもエネルギー源でもない新たな食の価値を提案している。
    ≫ official web site
    ≫ food creation
  • 奈良宗久
    Profile
    1969年大樋長左衛門の次男として金沢に生まれる。大学在学中より日展、及び日本現代工芸美術展へ出品(当時最年少)、そして作家活動を続けながら茶道裏千家千玄室大宗匠、千宗室家元の活躍に感銘を受け弟子入りし茶道の修業の道へ進む。修業を経て現在、家元直下の指導者(業躰)として認められ、金沢に於いて稽古場(好古庵)を拠点とし幅広く地域への茶道の指導、普及にあたり、それを中心としながら茶会、講演会など様々な文化事業にも参画している。そしてまた家元の下、業躰として全国及び、世界各地にも日本文化普及の為おもむいている。また大樋美術館学芸員を中心に金沢を中心とした美術品の解説、収集に努め発信している。
TourInfo
金沢
  • 旅行日程
    2015年7月12日(日)~7月13日(月)
  • 旅行泊数
    1泊2日
  • 募集人数
    30名(最少催行人数20名)
  • 応募締切
    1. 2015年5月31日(日)
      追加募集:2015年6月12日(金)迄
  • 添乗員
    1. 諏訪綾子、奈良宗久と当ツアー企画者が同行します。
  • カテゴリ
    ガイドツアー
  • 料金プラン
    1. 金沢から参加される方¥140,000(税込・お一人様)
    2. 東京から参加される方¥168,240(税込・お一人様)
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金沢茶屋 金沢茶屋金沢茶屋金沢茶屋金沢茶屋

宿泊は、加賀屋グループの「金沢茶屋」。
格子や畳文化の伝承など、古き良き金沢の“和”にこだわった客室は、やすらぎのひとときを演出。
料理長自ら仕入れするこだわりの加賀料理と心づくしのおもてなしが、旅の体験を更に彩ります。
また、樹齢2000年の香り豊かな「古代檜漆風呂」と「庭園風呂」(男女入れ替わり)が旅の疲れを癒してくれるでしょう。
くつろぎの旅情を、大人の贅が包み込みます。
通常1室3~4名でのご宿泊となりますが、お一人様でご宿泊されたい方はご相談下さい。

Itinerary
    DAY1
  1. DAY2