金沢レポート後編:金沢21世紀美術館

2014.Dec.09

金沢レポート後編:金沢21世紀美術館

先日に引き続き、今回も石川県の金沢を紹介していきたいと思います。
今回は、金沢のアートスポットと言えばこの場所、金沢21世紀美術館に伺いました。
10月9日に開館10周年を迎えた美術館のお祝いの様子を捉えましたので、ご覧ください。
 
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左上:妹島和世+西沢立衛/SANAA 《無重力性と透明性》2002年制作 金沢21世紀美術館蔵
左下、右上、右下:広場イベント「まるびぃdeパーティ10」


10周年という記念すべき年なだけあって、様々なイベントがてんこもり。遊び心をくすぐるようなプログラムが沢山組まれています。
中でも「好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム フードクリエイション+東京大学総合研究博物館」は、これまであまり美術館では扱われてこなかった“味覚”に着目したプログラムで、「好奇心」をテーマに10周年を盛り上げていました。とても興味深いプログラムだったので、ここでも取り上げていきたいと思います。
 
 
「好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム フードクリエイション+東京大学総合研究博物館」
 
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アーティスト諏訪綾子さんが主宰するフードクリエイションと東京大学総合研究博物館がコラボレーションしてできた空間は、ふつうの美術展の雰囲気とは、少し違う印象を受けます。博物資料を、美術館で展覧会として見せるという、新たな視点での物の捉え方を提示しています。
 
 
 
プログラム①好奇心のテイスティング
 
この展覧会では、何と言っても会期中に行われる様々なプログラムが目白押し。こちらもその1つ、「好奇心のテイスティング」です。

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突然会場に現れた人間と動物のあいだのような人。何やら手に持つガラスのドームの中には食べ物らしきものが入っています。彼に誘われるように後ろをついて、1人、また1人と人々が集まっていきます。
 
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ガラス張りの中庭に到着すると、「好奇心のテイスティング」が始まりました。「じわじわと沸き起こる確信のテイスト」という名の何とも不思議な見た目の1品は、手に取ってさらに驚きが、、、持ち上げると、中心部分からびよーんと粘着質な黒いものが伸びて、盆にまあるく痕が残り、少し不気味な印象を受けます。恐る恐る食べてみると、なんだかすっぱいような辛いような、食べている内にじわじわと変化していく、不思議な味わいでした。
 
これは一体、、と思いお聞きしてみると、なんと展示室の1室にある“好奇心をあじわう小部屋”に展示されていた“紫いものパウダー”(下図)が使用されているのだとか。
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会期中に、一般公募で集められたテイストハンターが石川県内の海や野山、国内外で集めた「好奇心の食材」を元にフードクリエイションがメニューを考案するなんて、この食材を収集したテイストハンターも、味わった私たちも、更なる好奇心を駆り立てられるようなイベントでした。まさに「好奇心」のあじわいです。
 
 
 
プログラム②ゲリラレストラン
 
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フードクリエイションと言えば、やっぱりゲリラレストランです。
東京のほか、ベルリンやシンガポールなど国内外のさまざまな場所で開催され、新たな食の価値を提案しています。
食の価値なので、味わってこそ、と思うかもしれませんが、目にも美しいパフォーマンスなので、写真を多めに掲載していきたいと思います。
 
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レストランの支配人である諏訪綾子さんが合図すると、4人の給仕人がフードを持って現われ、1品ずつお客様にサーブしていきます。
フードには、それぞれ「恥ずかしさと喜びがゆっくりと快感に変わるテイスト」や、「驚きの効いた楽しさと隠し切れない嬉しさのテイスト」など、感情をテーマにした名前が付けられており、レストランのお客様の表情を見ているだけでも、想像の味わいで楽しむことができます。さらに、フードの感情にあわせて、無人のピアノや給仕人の表情、足音の大きさなど、目まぐるしく雰囲気が変わる空間は、非日常な世界観にとっぷりと浸ってしまいます。
また、「手づかみで、できましたら一口で召し上がり下さい。」と支配人が案内した通り、手づかみで、大勢の人の前で食べていくレストランのお客様。ふだん手で食べる習慣はなく、大勢の前で食事をとるような機会もめったにないと思います。そんな中での食事は、黙々と食べるということは難しいようで、はにかみ笑いなど、照れながらも豊かな表情をにじませているのが印象的でした。
空間すべてあますことなく演出されているようなこのレストランは、新しい価値観を提供してくれる素晴らしいプログラムでした。
 
 
 
インタビュー
 
そんな素晴らしい空間を創りだす諏訪綾子さんにインタビューしました。これまでの展開と、今後の展開についてお話し頂いたので、ご覧ください。
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カルトラ運営事務局(以下、カ):「好奇心のあじわい 好奇心のミュージアム フードクリエイション+東京大学総合研究博物館」は、今年の4月から始まり、来年の3月まで行われる長いプロジェクトですが、4月から10月の現在までの半年間は、どのような企画を展開されて来られたのでしょうか?
 
諏訪綾子さん(以下、諏訪):美術館では、「好奇心をあじわう小部屋」というタイトルのガラス張りの部屋の中に、東京大学からお借りしてきた大小さまざまな大きさの瓶を1000個並べ、その中に食材をアーカイブしてきました。食材、と言っても食べられるものだけではなく、普通に考えたら食材にならないような、植物や、人工物も含めた、食べたらどんな味がするのだろうという気持ちを起こさせることを基準にした「好奇心の食材」を、一般公募で集まったテイストハンターの方たちとテイストハンティングしていきました。
月に一度ほど、能登や市内で行ったテイストハンティングで色々なものが集まり、現在、好奇心をあじわう小部屋の瓶の中には様々な「好奇心の食材」が入っています。
 
カ:色々な見た目の物が入っているのを楽しく拝見いたしました。もしかして、先ほど「あじわいの体験」のパフォーマンスでテイスティングさせて頂いた「じわじわと沸き起こる確信のテイスト」にも、あの小部屋にアーカイブされていた食材が使われていたりするんですか?
 
諏訪:そうですね。
 
カ:えー!そうなんですか!テイストハンティングした食材であの味になるとは!
 
諏訪:テイストハンティングで、テイストハンターの皆さんと一緒に集めたものをインスピレーション源として、テイストを作っています。
4月から展示室に現れた「好奇心をあじわう小部屋」では、平日はガラス越しに想像のあじわいとして「好奇心」をあじわって頂き、週末になると、小部屋の扉が開き、あじわいたい方は中に入って、「あじわいの体験」として実際にあじわうこともできます。また、ガラス張りになっているので、テイストを口に入れてあじわっている方を、ガラス越しに見る、というあじわい方もあります。 「好奇心のテイスティング」も、金沢21世紀美術館のガラス張りになった中庭で行っているので、ガラス越しに見ている方も好奇心をあじわっている場になっています。
 
カ:なるほど。好奇心をあじわう小部屋は今月以降、美術館からはなくなってしまうそうですが、プログラムとしては来年の3月まで継続されるとお聞きしています。今後はどういった展開があるのでしょうか?
 
諏訪:半年間をかけて、テイストハンターの皆さんとアーカイブしてうまれた好奇心のあじわいを、美術館の外に持っていき、色々な展開をしていきたいと考えています。
好奇心の小部屋が美術館の中にあり週末に扉が開かれる、ということをしていたのが、今度は金沢市内にある料亭の中に小部屋が現れる・・・というような方法で、美術館にはいらっしゃらない方にもあじわって頂けるプログラムを継続していきます。
 
カ:金沢を舞台に、「好奇心のあじわい」で織り成されるプロジェクトですね、ますます楽しみになってきました。本日はありがとうございました。
 
 
美術館内での展示は終わってしまいましたが、2015年3月末まで金沢の各地で様々なプログラムを行うようです。情緒あふれる町で行われる新しい食の体験、とっても楽しみです。
 
 
 
Information
■フードクリエイション
■東京大学総合研究博物館
■金沢21世紀美術館
 
 
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