国東半島芸術祭レポート前編

2014.Dec.22

国東半島芸術祭レポート前編

国東半島芸術祭レポート

2014年10月4日から11月末まで開催していた、大分県の国東(くにさき)半島芸術祭。
Cultraでは写真家の石川直樹さんと2013年に2泊3日のCultra tourを開催しており、おなじみの土地でもあります。
ツアーの際には宇佐神宮や熊野磨崖仏をはじめとした史蹟を中心に巡り、濃厚な国東半島と別府を体験しました。
今回、国東半島芸術祭の開催期間中に訪れたCultraスタッフは、サイトスペシフィックプロジェクトとして土地柄を活かして展開される作品やイベントを中心に国東半島を堪能して来ました。
サイトスペシフィックプロジェクトは、芸術祭終了後も展示される予定となっているとのことで、今後も楽しむことができるそうです。



成仏プロジェクト
まず向かったのは「成仏プロジェクト」
国東半島芸術祭のサテライト展Tokyo Previewのトークイベントを恵比寿OVER THE BORDERで開催した際に、宮島達男さんと山出淳也さんから伺っていたプロジェクトの完成形についに会いに行くことができました。
成仏プロジェクトの作品《Hundred Life Houses》の作家である宮島達男さんは、トークイベントご出演の際に作品の設置場所として適した候補地を現地のスタッフが凄まじい努力で見つけ出して来てくれた、という場所が「成仏地区」だったというエピソードをご紹介されていました。
どんな場所に展示されているのか、その期待を裏切らない素晴らしい光景が広がっていました。

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この成仏プロジェクトの場所、ガイドさんのお話では、スタッフが訪れる数十分前には野生の鹿が降りてきていたそうです。

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成仏プロジェクトで展開されている《Hundred Life Houses》というタイトル宮島達男さんの作品は、LEDライトの数字が「ライフハウス」の中で刻々と数を刻み、光を放っています。
数字を刻むカウンターが入った「ライフハウス」は地元地域や、全国、そして海外からの留学生を含める多くの方々と制作されており、それぞれの「ライフハウス」ごとによく見ると模様が入った違う家の姿をしています。中に入っているカウンターも、一人ひとりの任意のスピードに調整されて、とても早く回っているものから、ゆっくりと数字を刻むものまで一人ひとりの人生を写しとったかのような存在です。
カウンターの入った100個「ライフハウス」が設置された、上から地面に向かって抉られたように反り立つ岩壁は、天露をしのげる地形となっており、縄文時代前期から晩期にかけての炉の後や石器などが発掘された遺跡に面しています。約一万年前から人々の暮らしがあったと推測されるこの場所で1~9の数字、そして0のタイミングで暗闇となるカウンターが回り続ける様子は、人々の営みのように煌めいています。


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成仏プロジェクト、作品設置場所の近くでは「おせっ隊」のみなさんがお茶と漬物を用意して待っていてくれました。



岐部プロジェクト
川俣正さんによる岐部プロジェクト作品、《説教壇》は、海沿いを走る国道213号線からほど近い場所にあります。
斜面に沿って登っていくと、木製の橋のようなものが見えてきます。

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これが川俣正さんによる《説教壇》です。
この作品は、設置場所である岐部出身のペトロ・カスイ岐部司祭のエピソードにインスピレーションを受けて作られているそうです。
安土桃山時代にキリシタン大名の地域、そしてキリスト教の両親のもとに生まれたペトロ・カスイは司祭になることを目指してローマへと渡り、飛行機も鉄道もない時代に世界を歩き、江戸時代に日本に戻りました。
信仰や祈りの力で人が強くなれるというこのエピソードが残るこの土地で、《説教壇》という野外の教会をイメージした回廊型の作品を歩くと、海が見えました。

400年も前に国東の岐部から世界に旅立った青年の姿を想像する静かな時間が流れていました。

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国見ふるさと展示館
岐部プロジェクトは、「国見ふるさと展示館」にも隣接しており、ペトロ・カスイ岐部がローマなど国外各地で残した資料を見ることができます。
芸術祭期間中は、離れとギャラリースペースで石川直樹さんが国東で撮影した写真が展示されていました。
郷土館のあたたかな表情の建物の中で出会う石川直樹さんの写真は、都会で写真集を開く時とまた違った見え方をすることに気付かされます。






集ういえ・作るいえ

「集ういえ」は「国東半島アートプロジェクト2012・秋」の、アーティスト・イン・レジデンス・プログラム「いえをつくる」から誕生した施設です。
元歯科医院だった民家をアーティストたちで作り上げた、というこの家はこどもたちの絵に囲まれた、ストーブのあるあたたかな空間でした。

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「つくる家」と題された工房には、千葉正也さんの《スポーティー プラネット》が展示されていました。
地面に掘られた大きな穴の回りに、絵の描いた石が並べられ、その回りにも色々な物が置いてあります。

kunisaki 126千葉正也《スポーティー プラネット》

ふと工房の中をみると、この絵の中に描かれている物を見つけました。左上、バナナの上に置かれたアルミの台のような物です。滞在制作の現地ならではの面白さを見つけることができました。千葉正也さんの《スポーティー プラネット》のモチーフは国東現像.jpでも見ることが出来ます。



千燈プロジェクト

さて、いよいよ国東半島芸術祭の代表的な作品でもあるアントニー・ゴームリーさんの《ANOTHER TIME XX》の千燈プロジェクトにやって来ました。

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こちらはふもとにある不動茶屋。中は案内所になっていて、またまた「おせっ隊」のみなさんが暖かくおもてなしをしてくれます。ちょうどゴームリー像までのツアーが始まるところでしたので、芸術祭を楽しみに来られている他の方々と一緒に登ることができました。

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不動茶屋からみたゴームリー像。写真の中央、小さいですが見ることが出来ます。
登るぞーと意気込んでガイドさんについていくと、案外あっという間に到着しました。
不動茶屋からは徒歩で10分ほどの距離なので、しっかり山を登った気分を味わいたい方は国東半島芸術祭公式ガイドブックにあるアートトレイルのコースを行くのも良いかも知れません。

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こちらが岩肌にめり込むように建つ五辻不動尊。

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中を覗くと、本堂の奥の壁が、岩肌になっているのがわかります。
毎年3月の第2日曜日には五辻不動尊春季大祭が開催され、こちらのお堂の中で「お接待」と言って伝統的にお寺のお坊さんと地元の方々の行事が開催されるとのことです。


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その五辻不動尊から少し降りたところに、ゴームリー像《ANOTER TIME XX》がはるか東の方を向いて立っていました。
自然の岩や石で出来たものばかりに囲まれていた時に、鉄の人体像に遭遇すると、とても不思議な感覚がします。
作品が芸術祭期間終了後もこのまま置かれるのか、未定というお話をお伺いして改めてこの場所の持つ意味の重要性に気付かされたのでした。


さて、以上が国東半島芸術祭レポートの第一弾となります。
後半の記事で香々地プロジェクト、真玉プロジェクトなどなど、国東半島の見所をご紹介いたしますので、お楽しみに!






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